【旧優生保護法】幼少期に両睾丸を摘出手術した事を母に聞いた男性や、妊娠を親族に気付かれ説得されて中絶した夫婦が国を訴える

強制不妊巡り熊本の男性提訴 西日本初、国に賠償求める 実名公表は「自宅出る時に決めた」
実名を公表し「国は真剣に取り合ってほしい」と訴えた原告の渡辺数美さん=28日午後、熊本市

 旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強制されたのは子孫を残す自己決定権などを定めた憲法に違反し、救済措置も怠ってきたとして、熊本県の渡辺数美さん(73)が28日、国に3300万円の損害賠償を求める訴訟を熊本地裁に起こした。この日、初めて実名を公表した渡辺さんは「公表は今日、自宅を出る時に決めた。真っ正直に立ち向かっていきたい。国は真剣に取り合ってほしい」と訴えた。旧法を巡る訴訟は西日本では初めて。

⇒【画像】旧優生保護法下で強制不妊を受けた人数

 北海道の夫婦も同日、札幌地裁に提訴した。1月に仙台地裁に起こされた訴訟を含め、旧法を巡り提訴した原告は計7人になった。

医師から手術の説明ないまま手術

 訴状などによると、渡辺さんは幼少期に変形性関節症を患い、10~11歳の頃に血尿が出て訪れた県内の病院で同意がないまま両睾丸(こうがん)を摘出された。医師から手術の説明はなく、15歳の頃に母に尋ねて旧法による不妊手術だったと知った。

 成人後、子どもをつくれないことを理由に女性との結婚を諦めるなど精神的苦痛を受けた上、睾丸摘出でホルモンバランスが崩れて骨強度が弱くなり、複数回の人工関節手術を余儀なくされたと主張している。

 旧法による強制不妊手術を受けたのは全国で約1万6500人に上るとされる。渡辺さんは「絶対許されない人権侵害。泣き寝入りはしてほしくない。一人でも多くの方と戦っていきたい」と呼び掛けた。

 同県では、20代の時に中絶と不妊手術を受けた熊本市の70代女性も提訴する方針。

「子どもの出生の機会を奪われた」

 北海道の夫婦の訴訟では、訴状などによると、女性(75)は中度の知的障害がある。77年に結婚、81年に妊娠したが、入浴中に親族に気付かれ、中絶を説得された。夫(81)も周囲に逆らえず、中絶と不妊手術の同意書に署名。女性は同年6月、手術を受けた。

 「待ち望んでいた子どもの出生の機会を奪われた。手術で二度と妊娠できない体になり、夫婦として子どもを産むか、産まないかを選択する権利も奪われた」と主張。国が救済に向けた政策遂行や立法措置を取らなかったのは違法などとしている。夫婦はそれぞれ3300万円の損害額のうち、1100万円を請求。道庁や病院で手術の記録は確認されていない。

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